私は自分の名字があんまり好きじゃない。
だって、珍しい名字なんだもの。
珍しいのはいいことだってみんな言うけれど、だからイヤなの。
珍しい名字ってことはさ、すぐ私だってわかっちゃうじゃない?なんていうか、落ち着かないのよ。
小学生のときも中学生のときも同級生の話のネタにされたし、思春期街道まっしぐらの高校生なんて恥ずかしくてたまらなかった。
大学生になった今では、ちょっと諦めの境地に至りかけたんだけど、最近また困った事があったの。
先日バイトをはじめて、その書類のやりとりではんこが必要になったのね。
今までは必要な時だけ母に借りてたんだけど、まあこの機会に一個くらい持っておこうと思ってさ、文房具屋さんにいったのよ。
そうしたら私の名字はないっていうの!ひどいじゃない!私の友達の近藤さんだって吉田さんだって、お店にいってすぐ買ってきたって言うから、三文判だったらすぐ買えると思っていたのに、どんだけ私の名前は需要がないわけ?もう仕方ないから作ったわよ。
自分の名字を紙に書いて渡したら、お店の人が「良いご名字ですねえ」なんて言っちゃっててさ。
でもまあ、特注ってことになるわけよね、このはんこ。
失くしちゃったりしてもすぐに作れないかもしれないから大事にしなくちゃいけないし。
そんなことを思いながら出来上がったはんこを眺めていたら、ちょっと愛着わいてきたかな、はんこにも、それからこの名字にも。
ふふ、特別って感じ。
悪くはないかな、なんてね。